2024年3月21日木曜日

東芝の古い全自動洗濯機の修理

 2024年3月19日、我が奥様から洗濯機が動かないとSOSがありました。脱水を始めようとすると洗濯機の電源が落ちてしまうという現象です。水漏れとか異音とかではありません。どうも負荷がかかってモータ過電流で安全回路が動作している感じです。

(洗濯機)

東芝 AW-B70XP 全自動電気洗濯機

1998年式なのですでに26年使っています。家電の寿命は10年だそうなのでよく動いています。 10年寿命というのはメーカ都合だと思います。そのように設計してあるのでしょう。当然、壊れた部品を交換したりオーバーホールすればまだ使えるわけです。すべての部品が一斉に劣化故障するわけではありません。人間の体とは違うのです。





故障に際して、電源が落ちてしまうので当然エラーコードはありません。

何度か現象確認を繰り返し、モータ起動時に負荷がかかって過電流検知し電源切断と予想。

では過負荷の原因は何か?

このタイプの全自動洗濯機は縦型の洗濯槽が洗濯と脱水を兼用しており、洗濯後自動で脱水してあとは干すだけ。これを全自動洗濯機と称していました。

洗濯時: 洗濯槽底部の羽根つき回転盤が正逆転を繰り返してその水流で洗濯する

     従ってモーターは底部回転盤を回転させるのみ。

脱水時: 洗濯槽全体が高速回転し遠心力で衣服の水分を飛ばす。

     洗濯槽は二重構造で内側の洗濯槽のみが回転する。外枠は集水して排水する。

洗濯槽と底部を回転させるモータは一つでこれは洗濯槽底部裏側に装着され、二重構造の回転軸で駆動。中心軸が洗濯槽底部回転盤、外側の軸が洗濯槽全体を回転させる。この二重軸はスプリングで締め付けて連結するクラッチで回転力を内軸から外軸に伝達。

洗濯槽の回転にブレーキをかける機構があり、外側回転軸の外部に車のドラムブレーキのような回転締め付け機構があり、電源OFF時も含め通常はこのブレーキが作動している。

脱水する場合は、このブレーキが解除され同時にクラッチで連結され洗濯槽全体が回転する(図示省略すいません)。


(上図説明)
最下部がモータ。ベルト駆動で洗濯槽中央に配置されたプーリーを回転させる。この回転軸は二重構造の回転軸の中央に直結し、洗濯槽底部の回転盤を回転させる。
このプーリーの下部にはスプリングによるクラッチを内蔵した二重構造の回転軸があり、この回転軸の外側にはブレーキドラムとこれを締め上げるベルトがある。このブレーキベルトの一端は、スプリングの締め付けを制御するギア(プーリーに隠れて見えない)の回転を止めるアームの動作で締め付けがリリースされる。
このアームを引っ張るアクチュエータ(白いホースの下で見えない)は、SANKYO SEIKIのGM-11Kというモジュールを使い、ワイヤーでこのアームを引っ張っている。

このモジュールはアームをワイヤーで引っ張って、ブレーキシューをリリースすると同時にクラッチを接続し脱水層を回転させる。加えて、排水弁を開放し水を排出する。

(モータ負荷が増加する要因候補)

① 脱水運転時にブレーキが解除されないためにモーターに過負荷がかかる。

  GM-11Kの動作に問題なし。参考までにモジュールを分解したが、内部接点、コンデンサ容量抜けなど認められず。正常

② その他・・・回転軸自体の経年劣化による回転負荷?

  しかたがないので、回転軸の分解に着手。プーリーをはずし二重回転軸の

  クラッチ機構をばらす。ここはどうしても水のしみ出しなどもあり、

  グリスが茶色に変色、粘度がかなり高くなって動きが悪い。

  ・スプリングは断裂無し

  ・グリース劣化で回転が重い ⇒ 部品洗浄、新しいグリスを塗布 

以上の措置をして組付け

(結果)

停止せず動くようになりました。⇒ 奥さん喜ぶ!

二日間の作業でした。

以上

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2024年5月2日  その後の調子・・・・脱水ができなくなりました。

2か月もちませんでした。

(原因)

二重軸受けの部分を再度分解して調べました。

連結スプリングや周辺が錆びており、スプリングによる連結部の締め付けが機能しなくなっていました。従って脱水できません。スプリングの端部のひっかけ部が曲っており、これでスプリングが動作しなくなっていたようです。多分根本原因は錆で動かなくなったと思います。軸からの水漏れはどうしてもあるので、根本的に寿命要因といえるでしょう。修理の時に適当にグリスを塗布(低品質、少ない量)したのもいけなかったようです。脱水はまだできません。奥さんの「新しいのを買う」との鶴の一声でこれ以上の修理はやめました。この手の洗濯機の致命的な欠点ですね。すなわち軸の水漏れでの軸受け回転抵抗増加です。




2023年12月26日火曜日

直管型LED電球40Wの分解

 中国製だと思いますが800円ほどで購入できる直管40WタイプのLEDランプを分解してみました。

(1)銘板

入力電圧範囲がAC85V~265V と広い

(2)全体図(分解)

LEDが一列に並んだ細長い基板がアルミ製筒状ケースに搭載され、内部には樹脂ケースに入った回路基板がある。両端給電方式。

LEDは5並列24直列、LEDモジュールの全体の給電電圧は74V。

一個当たり3.1Vで45mA流している。


(3)回路基板


(4)回路図


  降圧型のスイッチングレギュレータ。コントロールICで2105BPVとあるのはデータシートが発見できませんでした。カスタムICでしょうか。回路接続から推定して予想図で記載しました。このICへの給電は工夫されてます。電圧の基準点が電流検出抵抗の一端にしてあり電源はそこを基準にLED+からとっています。多分IC内に電圧安定化回路があるのでしょう。電源投入時は電源側から初期充電できる構成です。

(5)電源端子波形


最後に入力端子での電圧電流波形を載せます。電圧が正負で高くなった時にパワーが供給されています。電流電圧の位相がほぼ合っています。

以上






2023年12月20日水曜日

100円ショップで買った200円のミニLED電球について

 3年ほど前にダイソーで買った口金サイズE17のミニLED電球をトイレで使っていましたが、最近不規則に点滅するようになり交換ついでに中身を調べてみました。

(仕様)

E17サイズミニLED電球、電球色で40W相当の明るさ。寿命4万時間です。消費電力はカタログ値4.3Wです。

(写真)

①全体分解図

LEDは10個(直列)アルミ製基板が

放熱用アルミケースにシリコングリスで

2個ネジ固定


②型番

銘板

株式会社大創産業

LED電球40W型相当

電球色100V4.3W


③回路基板

紙エポ片面基板

放熱の必要な電子部品は照明LEDのみ。




④回路調査

定電流制御IC(もどき)を使っていますがこのICの詳細は不明です。しかし、ネットには同様の分解記事がいくつかあり、その中に多分これに類似じゃねーかということでBP5131Sの情報がありました。しかしピン配置は左右逆転しています。

当ICの資料(ネット入手可能)によれば、もともとAC220V用に作られており、整流後のDC電圧は260V程度ある条件での使用のようです。従って電源100Vの条件では同じ明るさ要求に対して電流を多く流す必要があり、電流検出用抵抗は小さくしてあるのだと思います。基準電圧は600mV(実測動作550mV)で同じという制約です。

⇒回路の詳細は添付の下資料参照

⑤不規則なパラパラ点滅の原因は?

整流回路の平滑コンデンサ(12μF)は105℃用ですが実測が若干小さい10μFですが問題なし。ドライヤーでの回路全体の温度試験でも影響なし。

不規則に点滅する現象が起こったり起こらなかったりすることの原因ははっきりしませんでした。残された部分はICです。内部に若干の制御回路(温度補償、初期スタート?)をもっている様ですが、全体の電源はD端子(LEDカソード接続)から確保しているためこれが当初設計である220V使用から100V使用にしたことで、電流増加と電圧低下などによるなんらかの無理(内部回路へのバイアス電流供給が限界に近いなど)が生じているような気がします。これが経年のストレスで動作が不安定化したのではないかと思われます。

まあしかし、LED電球はすごいですね、従来の10分の1の電力で同等の明るさを提供するわけですから省エネ効果バツグンです。これを中国は50円もしないコストで量産しているのです。これでは日本製のLED電球は勝てませんね。画期的な製造技術が必要です。回路一体型印刷式壁紙照明とかね。製造コスト10円/㎡。





2023年8月9日水曜日

原野開拓やってます

 岐阜県のある高原(標高1000m弱)に原野を購入しました。ここを開拓して畑にしようと計画中です。

ほぼ平坦地ですが、50年前に別荘地として販売されましたがその後ほったらかしで売りに出ていました。低木やらつる植物が生い茂っています。周囲も同様な原野ですが、近くには学校、パン工房、ペンション、スーパー、コンビニや郵便局があるところで、生活には困らないと思いますがしかし原野です。購入した面積は200坪でそれほど広くはありませんが、自家用の畑には十分です。

原野開拓は初めてです。エンジン式の草刈り機程度があれば十分かと安易な考えでやってみると大間違い。そんなもの一部でしか使えません。主力はノコギリ、鉈、チェーンソーです。さらに地下に広がる根っこやつるを掘り出す必要があり、結局、2トンのユンボをレンタルして使いました。さらに、多量に出たゴミ(草木)の始末が必要です。乾燥してマッチ一本というわけには行きません。消防自動車がくるからやめてくれと地元の人に言われました。普通は産廃業者に依頼してどこかに廃棄してもらうみたいです。

そういう処理も含めて専門業者に伐採整地を依頼するのが普通のようですが、費用は300万円くらいかかるみたいです。自分でやれば実費50万もかかりません。

そこで草木のゴミは堆肥にして土に戻すことを考えました。隅っこに山積みして自然に分解するには数年かかるでしょう。量を少なく早く分解させるには細かくすればいいだろうと考えシュレッダーを使うことにしましたが、家庭用の電動おもちゃではダメです。大型のものはレンタル料金も高く、結局、エンジン式シュレッダーを購入するのが安上がりと判断しました。

といった具合で1年がかりで毎週通って開墾作業しています。

2022年10月 伐採初期

伐採途中

伐採がほぼ終了し伐採ゴミがたくさん出ました。木の根の伐根が必要です

まだ地面の下にはびっくりするほどの根っこやつるがあります。
ユンボで地面を30cm程度削り取り、地下の根っこを取り除きます。
松を伐倒し根を撤去しました。
木の枝はシュレッダーで粉砕しました。根っこは廃棄、5cm以上の太い枝は燃料に確保。

まだ先が長いです。あと一年以内で畑にしたいです。

2022年4月15日金曜日

ガス給湯器の故障修理


 家で使っている’ガス給湯器’はすでに購入後13年です。最近エラーコードが表示され、お湯が出なくなる現象が頻発するようになりました。その都度電源OFFして再投入で対処していましたが頻度が増加したため対策することとします。

故障コード: 722 ふろ疑似炎検知  対応:運転スイッチを一旦切って再操作

製品: ノーリツ GT-2450SAWX 2009年4月製造

 

カバーの裏側ですが、グラスウールの一部が溶けています。


内部の様子ですが、上の写真(左右逆対応)の溶けた部分に対応するのは点火装置と火炎検知部の電極部分です。
拡大すると、点火回路(右側の黒い高電圧発生装置)から出ている電極の樹脂カバーが溶けています。炭化して黒くなっています。青いケーブルにつながった火炎検知電極のコネクタカバーも黒くなって溶けています。炎ガスに流れる微弱な電流を検出する方式だと思いますが、内部抵抗が数MΩと高いため、経年の汚れによる漏れ電流で誤動作するようです。特に今回のようにトラッキングによる炭化が問題です。場合によっては発熱、発火から火災にいたるでしょう。写真では良く見えませんが、青いケーブルのコネクタ被覆が溶けて金属ケースにブリッジしており、多分これが大きな絶縁不良、漏洩電流増加、誤作動の原因でしょう。

ほこりを除去し、アルコールで周囲を清掃、溶けた樹脂はニッパーでカットしてきれいにしました。


又、カバーの裏側のグラスウールも溶けて垂れ下がり点火部に接触している様子のため、きれいにカットしました。
  

以上の処置をしてカバーをもどし、復帰させました。しばらく様子見です。

雨が降ると特に調子が悪かったですが、なおったでしょうか?

以上


(その後)

現在2024年3月21日 まだ動作しており現役です。ただし、ごくまれに同じエラーで停止しますが頻度は少ないので気にしていません。

まだ15年です。近所のガス屋さんが、そろそろ交換したほうがいいよとアドバイスしてくれます。

これからの時代、物を大切にし修理して使う世の中になるでしょう。そのための訓練。








2022年3月8日火曜日

TESCOM ヘアドライヤー修理

 超久しぶりに投稿します。

奥さんの使い古しのヘアドライヤーがついに熱風が出なくなったとのことで、分解修理しました。機種は TESCOM  650W マイナスイオン付きヘアドライヤーです。

今までの修理経験から見た故障内容と対応は以下の通り。

(1)電源コード接続部のトラブル

   コード折り曲げ部分の断線(本体の回転接続部、コンセント接続部)

   回転スリップリングの接触不良⇒直接配線

(2)内部温度ヒューズの溶断(風出口を塞ぐなどで異常加熱?)

   溶断ワイヤ配線で交換不能のため、エイヤーで接続する

(3)操作スイッチの内部不良

   コンタクト部分がススで黒くなって接触不良

   コンタクト部スプリングのへたりによる接触不良

   ⇒ スイッチを分解しないと修理できない。通常スイッチ部品の交換が

     必要ですが、カシメを除去してエイヤーで内部修理(接触部クリーニング)

今回の故障はスイッチ部の接触不良(二段階目がONせず温風が出ません)です。



上の写真の黒い箱がスイッチで今回はこのスイッチが接触不良。
分解して接点清掃(ヤスリ)、板バネ調整)
(参考)マイナスイオン発生器は、黄色い円筒状の部品。AC120VからDC2.2~3KVを
発生し、風の出口で放電させてマイナスイオンを発生させているとのこと。この部品のメーカーは中国SUNYOUのNegative ion generator



全体の分解写真



参考までに回路図を載せます。今回スイッチの2の接点が接触不良でした。
以上



2018年2月21日水曜日

電気アンカの分解

<電気アンカの分解>
家で使用していた電気アンカが通電しても暖かくならなくなりました。分解して原因を調査しました。

製品: 大阪ブラシ株式会社製 EC028 100V 4A
    使用前に通電してアンカ内部の液体を熱くして使用するタイプです。
    湯たんぽに湯を入れる代わりに自分で電気加熱して熱くする方式です。
     通電中はブザーが鳴り、所定の温度に達するとランプが点灯し過熱が停止
    します。



   本体はビニールのような袋で内部に液体が入っています。


   通電用のプラグを外した接続口は3Pの電極です。

   袋の中を見ます。プラグ部分を切り抜きます。




分解しました。内部の液体は、

塩分と酸化鉄の粉末のようなものが入った液体です。放置すると分離します(上)
この液体は通電できます。1cm四角のアルミ電極を2cmほど離して通電すると15Vで約0.4A流れます。全体の回路図です。
ちょっと見にくいですが、袋の中で2カ所に分離された電極でこの液体に通電し、加熱するようです。交流100Vを直接印加しています。液体が過熱して所定温度に達すると、バイメタル式のサーモスイッチが作動(75℃)して通電が切れます。同時にLEDが点灯します。通電中はブザーが鳴動します。

故障の原因ですが、使用していると過熱にかかる時間が長くなり、最後には過熱できなくなるということで、加熱電極を見てみると黒く変色した固形物が堆積して、通電しにくくなっているようです。つまり、なんらかの析出物が堆積して電気抵抗が増加し液体に通電しなくなり過熱できなくなるということのようです。これが寿命要因と思われます。

通電電極をクリーニングすればしばらくは回復すると思われます。しかし今回はビニール袋を切り裂きましたので、復帰不能です。

以上